穴短編〜意不昭和編〜

 

……前々からこの穴は、猫がくぐるにぴったりな

大きさだと心密かに思うていたのです。

 

そして今日通りかかりますと、お尻としっぽが

穴にすーっと消えてゆくではありませんか!

 

その瞬間の、わたくしの心持ち……

お分かりいただけるでしょうか?

 

 

否!否!

 

 

これはきっと、お姉さまにもお分かり

いただけないと思いますわ。

 

 

わたくしも、あの穴を通って猫になれたら…

 

 

とつぜんこんな事を言い出して、ずいぶん

不躾な娘だとお笑いでしょうね。

 

どうか猫に免じて、お赦しくださいませね。

 

 

かしこ

 

 

 

最後の手紙にはこう綴られていた。

 

それ以来、この娘は神隠しにでもあったかのように、

ぱったり姿を消したのだ。

 

 

(つづく)

 

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